「生産緑地の2022年問題」が話題になっています。残すところあと2年後に迫りました。東京23区、首都圏・近畿圏・中部圏内の政令指定都市の土地に限られる話題ですが、ひとつの知識として整理しておきたいと思います。
そもそも1991年の生産緑地法改正とは?
生産緑地法は1991年に改正されて、三大都市圏の市街化区域内にある農地は、
・農地として保全する「生産緑地」 ・宅地などに転用される農地
生産緑地指定を選択した農地は、固定資産税が一般農地並みに軽減されて、相続税の納税猶予措置も適用されるというメリットの代わりに、建築物を建てるなどの行為が制限されて30年間の営農義務が課せられました。 それに対して生産緑地指定を選択しなかった農地は、固定資産税などが宅地並みに課税され、相続税の納税猶予を受けることもできないので「宅地化」が進みました。1992年から2013年度の20年あまりの間に約6割が宅地化されて、多くが新築マンションや建売住宅などの敷地となったり、賃貸物件が建築されたようです。これが生産緑地の概略ですね。
地価や家賃が大幅に下落する!?
この生産緑地の適用は1992年から始まりましたので、30年後の2022年に、全国の生産緑地の8割が期限を迎えることになる、と言われています。期限を迎えた農地は、行政に時価で買い取りを申し出ることが可能となり、行政が財政難のために買い取らなかったり、生産緑地として他に買う者がいない場合は、生産緑地の行為制限が解除されます。そうなると、優遇された固定資産税が大幅に上がってしまうため、所有者が農地として持ち続けることが困難な場合は、大量の土地が売却されたり、大量の賃貸住宅が供給されて需給バランスが崩れ、地価や家賃が大幅に下がるのではないか、と懸念されているのが「生産緑地の2022年問題」です。三大都市圏の相場の下落は、他の地域にも及ぶ事が予想できますので、全国の大家さんにとっても影響の大きな問題です。
生産緑地が市場に出るのを法律で抑制
生産緑地指定の期限を迎えた土地の多くが一斉に市場に出ることを抑制するために、国は昨年の4月に「都市緑地法等の一部を改正する法律案」を成立させています。これには生産緑地法の改正も含まれていて、その改正の要点には主に以下の3点があります。
[指定面積要件の緩和]
面積が500㎡以上という現行の制限を、市町村が一定の基準(300㎡)のもと面積要件を条例で変更できるようにするという改正です。
[行為制限の緩和]
生産緑地内で直売所、農家レストラン等の設置を可能とすることで、生産緑地で利益を得ることができて維持しやすくなります。
[特定生産緑地指定制度創設]
生産緑地の買取り申出が可能となる始期を10年ごとに延長することが可能となり、市場に出る生産緑地の減少を目指しています。
ある記事は大量の土地が売却されて地価が下落すると予想しています。別の記事では、地主さんの土地所有意欲の高さから、土地を売却するよりも賃貸住宅建築に動くので供給過剰がさらに進んで家賃の下落を予想しています。あるいは国の施策が功を奏して、生産緑地が一斉に市場に出ることに歯止めがかかるのではないか、という論調もみられます。実際に2022年が来て生産緑地指定の土地の多くが期限を迎えたとき、どのような現象が起こるのでしょうか。
2022年までにのちに慌てないためにいまからでも対策を考えておいてみてはいかがでしょうか。いずれ駐車場にしたい!土地を売りたい!家を建てたい!固定資産税が高すぎて困っている!不動産、管理についてどんな些細なお悩み事でも、ぜひ山八建設までご相談ください。